■ オブジェクト指向 - イベント参加レポート集 1 (前の頁)
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UML Forum/Tokyo 2001![]() |
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Rational Rose/ラショナル統一プロセス徹底検証セミナー![]() |
2001/08/24 |
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2002/3/11〜14 |
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UML Forum/Tokyo 2002![]() |
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■ オブジェクト指向 - イベント参加レポート集 2 (この頁)
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UML Forum/Tokyo 2003![]() |
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クリスマス企画 オブジェクト指向実践者の集い 〜オブジェクト倶楽部が街にやってくる〜![]() |
2003/12/16 |
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※ XP (エクストリーム プログラミング) - イベント参加レポート集はこちら
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タイトル:UML Forum/Tokyo 2003
http://www.otij.org/UMLForum2003/
場所 :東京・青山テピア
日時 :2003/04/16(水) 〜 17(木)
主催 :オブジェクトテクノロジー研究所
共催 :オブジェクト・マネジメント・グループ (OMG Inc.)
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UML を中心とした最新のオブジェクト指向技術に関する情報収集
以下のセッションに参加した.
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■ 雑感
今年で三回目を迎える UML Forum であるが,毎回参加している.
毎回オブジェクト指向について考える機会を与えられ,又,数々の楽しい思いもして来た.私にとっては特別な思い入れの有るイベントである.
オブジェクト指向の周辺技術も日進月歩であり,今後も継続的に注目していく必要があると思う.
今回は,前回前々回と会場が異なっていた.交通の便はやや良くなったようであるが,縦長の会場となり,セッションや展示の会場が各階にばらけてしまったのが残念に感じた.
私感であるが,こういうイベントでは,日頃ばらけている技術者が集結してコラボレーションする感じが何とも良いのである.例えば UML の好きな連中が年に一度どこかに集まる.そして UML に関する発表をしたり聴いたりする.技術者達は元気になって帰って行き,各々の職場の技術を活気付ける.なので,なるべく分散せずに固まった方が良い.一昨年や昨年の会場の方が,各階が広く使えていて良かったように思う.
些細なことに思えるかも知れないが,「場」というのは重要であると思う.開発プロセスである XP (エクストリーム・プログラミング) でも,仕事をする場所のあり方を重要視するが,如何に「場」を整えるか,例えば,人の動線,セミナーを行う部屋の明るさ,講師の声の大きさ,椅子や机の配置,それから時間の使い方.こういうことは大切だと思う.
# 個人的には,「近くに美味いランチの店が沢山在ること」も大切な点としてランクインしたいところである.
また,今回,前回前々回のイヴァー・ヤコブソンやマーチン・ファウラーのような所謂「カリスマ」的な人が少なかったような気がすることや,UML がもう新しい技術というよりは良い意味で当たり前の技術に成って来た感があり,若干おとなしめの開催であるように感じた.
長引く不況で私の考え方が暗い方に行っている所為かも知れない.
今年の UML Forum の目玉は,
上記二つの点に関して識ったことや感じたことを以下に書いて行きたい.
■ UML 2.0
○ UML の目的
先ずは,本フォーラム中のセッションで多く話されていたことを中心に,UML の目的を再確認しておきたい.
UML には大きく分けて以下の二つの目的があると思われる.
UML の目的 | 用途 | 重視するもの | UML で描かれたモデルの寿命 | 相性の良いもの |
---|---|---|---|---|
仕様/構築 |
|
詳細さ・正確さ・形式 | 長め |
|
図示/説明 |
|
本質 | 短め |
|
また,UML は,規格化されていることが重要な特長である.異なるツール間や異なる開発プロセス間でモデルを統一的に扱えるようになっている.
ツール間でモデルを交換するための XMI (XML Metadata Interchange) という規格も含んでいる.
○ UML 2.0
UML 2.0 は2003年の第一四半期に完成するとのことであった.一昨年に UML Forum で聞いたスケジュールより随分延びているようである.
UML 2.0 の主な改良点は以下の通りであった.
・UML 2.0 で新しくなった図 (一部)
図の名称 | 変わった内容 |
---|---|
Composite Structure Diagram | 新規 SDL-2000 のブロック ダイアグラムの仕様が追加 コンポーネントの中の構造をより詳細に記述できるようになった 全体に対する部分をコンポジット (黒ダイヤ マーク) でなく Composite Structure Diagram で表現 ポートやコネクタでコンポーネント内部のコミュニケーション パスを表現 |
シーケンス図 (Sequence Diagram) | 中で他の図を参照出来るようになった ケース分岐やループが描けるようになった |
Communication Diagram | コラボレーション図 (Collaboration Diagram) から名称変更 |
アクティビティ図 (Activity Diagram) | スイム レーンを階層化出来るようになった |
Interaction Overview Diagram | 新規 アクティビティ図のような図 中で他の図を参照出来るようになった 中に他の図 (シーケンス図) を描ける |
ステートチャート図 (State Machine Diagram) | SDL-2000 のステートチャートの仕様が追加 中に詳細な処理を記述出来るようになった シグナルの送受信が記述出来るようになった |
情報フロー図 (Information Flow Diagram) | 新規 |
Timing Diagram | 新規 |
○ UML で目指しているもの
UML 2.0 関連のセッション中で強調されていたことを以下に上げてみたい.
コンポーネント モデルのサポートが強化されたが,これからは,オブジェクト指向よりコンポーネント ベースの開発が重要とのこと.
尚,クラスとコンポーネントの違いは以下のように示されていた.
粒度 | インタフェイス | オブジェクト | |
---|---|---|---|
クラス | 細かい | 持っても良い | 通常は持つ |
コンポーネント | 粗い | 必須 | 持っても持たなくても良い |
また,これからは,強力なツールのサポートによる MDA が重要とのこと. 要件駆動型開発 (Requirement Driven Development) も強調されていた.
UML 2.0 はこれから様々に使われることによる負荷テストを受けるらしい.
また,UML 2.0 で未対応で今後必要そうなものは以下のようなものとのことであった.
昨年に引き続き,MDA を強調するものが多かった.一方で,MDA のビジネス系アプリケーションへの適用を疑問に思う声や,MDA では非機能要求,例えば,セキュリティやパフォーマンス,ユーザビリティがなおざりになっているという声も有った.
■ UML の教育的側面について
『国際的なXPプロジェクト事例─UMLを使った分散アジャイル開発』というセッションを聴いて,XP (エクストリーム・プログラミング) が如何にコミュニケーションを促進し,無駄を省き,リスクを取り除き,且つ教育的であるかに驚かされた.
XP で,中国との共同プロジェクトを行い,UML ツールを作成したとのことであった.言語や距離の壁,等のいかにも大きなリスクを取り除いてコミュニケーションを行い,また,UML やオブジェクト指向に習熟していない開発者もいる中,余り事前研修等を行わずに進められ,大きな成功を収めたとのこと.俄かには信じがたい程である.
話を聴いていて感心しきりであったが,UML はコミュニケーション ツールとしての効果は勿論,UML 自身が持つ教育効果が大変大きいのではないかと思った.
そこで UML の教育的側面について考えてみたい.
最初から C++ や Java 等のプログラミング言語で書いていくよりも,UML で記述していく方が良いモデリングの練習となると思う.
UML では,モデリング以外の余計な概念が省かれている.つまりモデリング言語としては,当然の事ながら C++ や Java よりも UML の方が純粋で無駄がない.勿論日本語のような自然言語と比較しても同様である.
UML という言語を使うことで,他の言語を使うのと比較して,開発者はモデリングという概念自体に慣れて行くことが出来る.
そして,UML 自体がモデリングの良い手本になっている.
UML を使い込んで行くと,段々と UML 自身がどのように設計されているかという点が見えて来る.つまり,UML メタモデルが見えて来る.今回,UML 2.0 では更に洗練されたメタモデルになったと聞いたが,そのような研ぎ澄まされた設計が知らず知らずに身に付いて来る.
モデリングに習熟するには良いモデルを見るのが一番だとは良く言われていることである.UML に限らず,良い設計の言語やツール,良い設計のフレームワークやライブラリを使い続けることは,その使い易さによるメリットもさることながら,良いモデラーを育てるというメリットがあると思う.
例えば,Java や C#/.NET を使うことで,その完成度の高いフレームワークの構造を学び,真似ることが出来るであろう.そこには自然と良い設計を身に付ける効果がある.(どのライブラリとは云わないが) 逆に設計の悪いものは逆効果であろう.
例えば,Smalltalk のようなオブジェクト指向言語,そして Java や C# のようなハイブリッドなオブジェクト指向言語,更には C++ のようなよりハイブリッドな言語を比べてみた時,オブジェクト指向の習熟効果に自ずから差が有るのは明白だと思う.昔の FORTRAN や COBOL,BASIC のような言語では尚更である.
これは,それらの言語やライブラリの範囲内の概念を利用して繰り返し開発を行うことにより,それらの言語やライブラリが,或る種の枠組みとして,不要で有害な概念を含まない良い部分に,思考を限定して行くためではないかと思う.
同様に,XP 等の開発プロセスやアジャイル モデリングのような手法も教育的であると思う.或る優れた開発プロセスの枠組みに従って開発を進めていくことで同様の教育効果がある.
UML も含め,開発者のためのこれらの教育的な枠組みのことを,私は「教育的フレームワーク」と呼びたい.
■ UML ロボットコンテストについて
「第2回 UMLロボットコンテスト」をやっていた.
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タイトル:クリスマス企画 オブジェクト指向実践者の集い 〜オブジェクト倶楽部が街にやってくる〜
http://www.ObjectClub.jp/event/2003christmas/
場所 :笹川記念会館 (東京都港区三田)
日時 :2003/12/16(火)
主催 :オブジェクト倶楽部
会場の様子.
"Where Are You From?" ボード.参加者は,地図上の自分の出身地に当たる場所にピンを刺し,そのピンから細いテープを引っ張って自分の名刺を貼り付ける.
フリーの UML モデリングツール "Jude" や「UMLロボットコンテスト」の "LEGO MindStorms" ロボットが展示されていた.
以下のプログラムに参加した.
詳しい内容に関しては,以下にレポートが有るようである.
http://www.ObjectClub.jp/event/2003christmas/
※ 講演資料も一部公開されている.
******** 一 ********
「オブジェクト指向」を実践している人が集まり,
******** 二 ********
モデリングのスペシャリストやファシリテーションのスペシャリスト,その他多くの熱い専門家の方のお話を聴くことが出来た. XP (エクストリーム・プログラミング) のようなアジャイル開発を実践されている人も多数いらっしゃった.
平鍋 氏のオープニング・トーク『現場へのオブジェクト指向適用について』は,最近私の周りでオブジェクト指向の実践について中々うまく行かずに悩んでいた私にとって,深く心に響くものがあった.
特に考えさせられた点を,自分なりの言葉で以下にあげてみたい.
オブジェクト指向を現実に成功させるためには,理想だけを見ていても現実だけを見ていても十分ではない. バランス感覚が必要.
(*1) デスマーチ相関図 (スパイラル編) © 2003 やまざき氏 を参照のこと.
******** 三 ********
講演やワークショップでは,上記の「オブジェクト指向を現実にするために大切なこと」を実際に学んだ.
具体的にオブジェクト指向に関する知識を得たり,オブジェクト指向教育の方法,コミュニケーション技術について知ることが出来た.また,交流会等を通して,多くの実践家の経験を伺う機会を持てた.是非今後,身近なところで学んだ内容を実践に移してみたいと思う.
コミュニケーション技術については,オブジェクト指向を実践し成功させていくために,特に重要と考えている.今回は,短い時間ではあったが,『技術者のコミュニケーションを見つめなおすワークショップ』により,その幾らかを経験することが出来たと思う.
ワークショップの内容も良かったが,本間 氏がファシリテータとしてどんな風に参加者を参加させ,体験させ,ワークショップを時間内に成功に導いていくか,その過程を
是非今後もコミュニケーションの技術を学んでいきたいと思う.
参加されている方は,その多くが色々な立場で色々な遣り方でオブジェクト指向を実践している人たちであった. 全部で百名位集まっただろうか.
オブジェクト指向を実践しようとする人達が,このようにコラボレートしていくことが,今後は多くの問題を解決していくのだろう. 私は,特に「オブジェクト指向の教育」という点で貢献して行けたら,と考えている.努力していきたい.
タイトル:UML Forum/Tokyo 2004
<http://www.otij.org/UMLForum2004/>
場所 :東京・青山テピア
日時 :2004/04/13(火) 〜 14(水)
主催 :オブジェクトテクノロジー研究所
共催 :オブジェクト・マネジメント・グループ (OMG Inc.)
UML を中心とした最新のオブジェクト指向技術とその教育方法に関する情報収集
UML Forum は、今年で四回目を数える。私は、毎回参加している。
会場は前回から、青山テピアとなっている。
会場の青山テピア
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今年の UML Forum のメイン テーマは、矢張り MDA (Model Driven Architecture: モデル駆動型アーキテクチャ) である。
全体としては、
昨年は、UML2.0 がメインだった。
数年前から「今年中に出る」と
主催者側の発表によれば、来場者数は毎年 2000 人強 (二日間の合計)。今年は、過去最高の来場者数であったらしい。
唯、私の感想としては、UML Forumは、前回も感じたことであるが、やや規模を縮小しつつあるように感じた。
海外からの著名人の参加が前回同様やや控えめであり、また、スポンサーによる展示も少なめ。
MDA にかなり特化していることと、その MDA について、また、UML 自体についても、それ程目新しいものがないからではないだろうか。 内容も、全体として、IT 技術としてよりもどんどんビジネス寄りの話が多くなってきている気がする。
スポンサー展示は、MDA ツールに関するものが多かった。 矢張り、MDA はツールが重要であり、なんだかんだ言っても MDA を実現するための「ツール」が結局どうなのか、こそが問題になるということだろうか。 現時点で MDA でビジネスをしたい人以外、取り敢えず様子見といったところかも知れない。
br>UML はもはや「新しい技術」ではなくなり、年々「普通の技術」になっていっている。 話題性も以前程ではなくなっているのだと思う。
但し、それは UML が頻繁に使われるようになって、より重要性が増していっていることでもある。 だから、UML Forum のようなイベントの存在の重要性は、決して低くなってしまった訳ではないのだとは思う。
UML の使われ方には、何通りかある。開発者によって使い方はやや異なっているのである。
※ Martin Fowler's Bliki in Japanese ― UMLモード より
私としては、もう一つ、
というのも入れたいところである。
最近の UML Forum での UML は、「設計図としての UML」と「プログラミング言語としての UML」が主である。
UML Forum は、毎年どんどん MDA 色が濃くなる。OMG (Object Management Group: オブジェクトマネージメントグループ) 側の催しものであるので当然と言えば当然なのであろうけれど。
そして、ビジネスが前面に出て来ている感じがする。
勿論、ビジネスにコミットした視点というのは大切である。
ビジネス上の問題にこそ注視すべきであり、開発というのはそれに関する解決方法である。 また、技術というものは手段であって目的ではないのであって、その視点がエンジニアには往々にして欠けている、というのも良く言われることである。
唯、それは反論の余地なくもっともなことであるのだけれど、もっと、エンジニアの視点、プログラマの視点というのも、イベントの中でリンクさせていっても楽しいのではないだろうかと感じた。
以下のセッションに参加した。
私の関心事は、特に教育である。 そこで、今回は特にモデリングの教育に関連したセッションに多く参加してみた。
国内には、現在 UML 関連の認定制度が二つ在る。 「UMLモデリング技能認定試験」と「OMG認定UML技術者資格試験プログラム (OCUP)」の二つである。
国内の UML 関連の認定制度について表に
名称 | UML技術者認定制度 |
---|---|
団体 | 株式会社オージス総研 |
種類 |
|
補足 |
|
名称 | UMLモデリング技能認定試験 |
---|---|
団体 | UMTP/Japan 特定非営利活動法人 UMLモデリング推進協議会 |
種類 |
|
名称 | OMG認定UML技術者資格試験プログラム (OCUP) |
---|---|
団体 | ユーエムエル教育研究所 (UTI) |
種類 |
|
今回は、その二つの試験の実施団体によるセッションにいくつか参加してみた。 OMG、UMTP合同パネル討論 『モデリング技術者育成の課題』と『UMTPの活動とモデリングスキル定義』、それに OCUP (OMG認定UML技術者資格試験)『UMLと技術者教育 ─スキルアップのポイントと認定プログラムについて』の三つである。
最近話題の経済産業省策定「ITSS (IT Skill Standard: ITスキル標準)」が取り上げられていた。
ITSSユーザー協会の方が、パネル討論のパネラーとして参加していた。
これらのセッションの内容で印象に残ったものは、以下の通り。
モデラーを育成するために有効な手段として、このセッションで聞いたものやセッション中に私が思い付いたものを列挙してみる。
その他のセッションでは、松島 教授のセッション『ビジネスモデルによる経営戦略の実装』がかなり心に響いた。
ビジネスも設計すべき、という話である。
「往々にして、ビジネス側の人間はITリテラシーが低く、IT側の人間はビジネス リテラシーが低い。IT技術によって問題を解決するための最適な解を得るには、IT側からの戦略オプションの提示が必要」という話が特に良かった。
これに関連したセッションとして『エンタープライズ・アーキテクチャ (EA)におけるUML』も聴いた。
UML Forum に参加して、このように様々な分野の多くの専門家の言葉を聴くことは、自分の視野を広げることになると思う。
「この方は、どのように考えるのか」
「この方は、何故そのように考えるのか」
それを知ることは、自分の考え方の幅を広げてくれるようである。
「第3回 UML ロボットコンテスト」が今年も同じ会場で同時開催されていた。
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UML Forum 自体よりも寧ろ、こちらの方が盛り上がっているかのように思える程、すごい盛り上がりを見せていた。
今回は、参加チームも 41 チームを数え、また、見に来ている人も多かった。
毎年参加者も応援もどんどん増えていっているようである。
UML Forum 内でも、「UML ロボコン」関連で、表彰式やパネル討論が行われていた。
特にパネル討論は、かなり興味深い内容のもので、「良いモデルとは」ということについて再考させられた。
UML Forum の MDA のセッションに参加した際に感じたことであるが、MDA がテーマとして登場して何年も経つ割りには、説明中に MDA のデモが余り出てこない。
セッション中は時間がないので、概念や概要の説明に終始し、実際の MDA ツールは、展示ホール内のツール ベンダーのブースでデモをやるのでそれを見て欲しい、という趣旨だと思う。
しかし、時間がないからこそ、百聞は一見に如かずで、スポンサーのセッションであれば、実際の MDA ツールを動かして見せれば、話が早いような気がする。
昨年までであれば、新技術ということでまずは概論が重要であったのだろうが、今回はそれ程目新しい部分はないのであるから、昨年と同じ部分の理屈の説明はすっとばして、より具体的なものをプレゼンテーションしてもらった方が嬉しかったかも知れない。
デモンストレーションが大切である。
例を出してみたい。
例えば、IT のベンダーが、お客さんのところへ何か IT のソリューションを繰り返し提案しにいくとする。
最初は、概要の説明でいいかも知れない。
「提案しているソリューションは如何に優れているのか」
「どういう原理なのか」
「紹介するツールの戦略はどういうものなのか」
しかし、いつまでも概要や原理ばかり説明していたら、仕舞いにはこう言われるのではないだろうか。
「能書きは前回もその前の回にも聞いた。それは後回しでいいから先ず見せろ」と。
「MDA は問題を解決します」と声高に何度も言ってみせるのも良いが、目の前で MDA を使って実際に何かの典型的な問題を解決してみせてくれと。
勿論、MDA で問題を解決した事例は、以前からあげられてはいる。 ロッキード・マーチン社の戦闘機 F-16 の MDA による開発で使われた UML も見た。
そして、説得力云々以前に、この図は美しい。確かに魅力をたたえてはいる。
「歴史的に、『機械語 → アセンブリ言語 → C → C++ → C# → モデル』のように抽象化を進めることで生産性をあげてきた。そして今我々には MDA がある」という説明も美しい。
唯、美しすぎるのである。 どこか「絵に描いた餅」であるかのように感じてしまうのである。
実際に PIM (Platform Independent Model: プラットフォームに独立なモデル) から PSM (Platform Specific Model: プラットフォームに特化したモデル) を作ってみせ、そこから Java や C++ などのコードを作ってみせ、最終的には動かしてみせる。 そういうデモを展示ホール内で日本コンピュウェアがやっていた。
こういうことをもっとやってみてはどうかと。 そしたら多分、もっとずっとその後の説明が理解し易くなるのである。
「understandability (理解し易さ)」という視点から考えてみると、そうした「概要」と「実物」の繰り返し、或るいは、「抽象」と「具象」の繰り返しというのが、大切なのである。
もう少し、極端な話をしてみたい。
最近のコンピュータ ゲームや家庭用ゲーム機のゲームは、多機種で同様のものが動くことが多い。 例えば、Windows マシンと Playstation2、ゲームキューブ、Xbox でほぼ同じ内容のゲームが楽しめたりする。
で、例えば、UML Forum 基調講演で、Windows マシンと Playstation2 で動作する「ぷよぷよ」(「落ちもの系」と謂われるパズルゲームの一種) が MDA で開発出来ると言う。そして、実際に目の前で MDA で実現した「ぷよぷよ」を Windows マシンと Playstation2 で動かして見せてしまう。
別に「ぷよぷよ」でなくたって Playstation2 でなくたって構わない。なるべく意外性のあるものであれば。同じ UML のクラス図から携帯電話とゲーム・キューブでインベーダー ゲームを動かして見せる、とかでも良い。
それからじっくりと、MDA の素晴らしさについて講演を行う、というのはどうだろう。
MDA は、体系でありそもそも概念であるので、そういった手法には適さない、と言われてしまうだろうか。
でも、もしも「そんなことできる訳ないだろう」と言って仕舞うのであれば、それは或る何らかの意味において、MDA の限界を表しているに違いない。
「UML ロボコン」の人気が高いのは、具体的な体験を伴うからかも知れない。
この UML Forum 参加の直後、生マーチン・ファウラーに二回も会ってしまったので、上記所感が彼の言葉の影響をもろに受けてしまっているのを否定しない。
唯、私の MDA への違和感は、UML Forum 参加前から感じていたものである。
※ マーチン・ファウラーに会ったときの模様は、「第11回 日本XPユーザー会 Martin Fowler 夫妻と Gregor Hohpe 氏を囲む会」〜「.NET アーキテクトセミナー 2004」〜「ソフトウェア再利用とパターンに関する特別セミナー」のレポートに書いた。
※ UML2.0 になっての変更点もそちらに書いた。 または、『UML2 ハンドブック』 (翔泳社 株式会社テクノロジックアート 著) が参考になる。
タイトル:パターンワーキンググループ設立一周年記念セミナー
<http://patterns-wg.fuka.info.waseda.ac.jp/fa2004.html>
場所 :東京 国立オリンピック記念青少年総合センター センター棟 3階 310室
日時 :2004/05/27(木)
主催 :(社)情報処理学会 ソフトウェア工学研究会 パターンワーキンググループ
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パターン技術とその教育方法に関する情報収集
セミナー後は,懇親会に参加した.
スーパープログラマ (*1) の浅海さんに,.NET についてどう思われるか等の沢山の質問をしたり,多くの方の様々の考えに触れることが出来た.
いつも思うことだが,こういう懇親会は,本当に貴重な体験の場であると思う.
(*1) セミナーの中で浅海さんは,こう呼ばれていた.
※ オブジェクト指向 - イベント参加レポート集 1 (前の頁)
※ オブジェクト指向 - イベント参加レポート集 3 (次の頁)
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