教育パターンの発掘


ECOOP 2001
ジョー (Joe) によります.
『教育パターンの発掘』


パターンというのは,或る特定の領域における最良の実践を表現しようとするものです. 「教育パターン」は,教えることと学ぶことの実践に関する熟練者の知識を表現しようとしています. 実践の本質を,知識を必要とする人々に容易に伝えることができるようなコンパクトな形式で表現することを意図しています. 新人のインストラクタが先輩が知っていることを毎度学び直す必要が有る状況と,コミュニティー内において教え方に関する知識を容易に移行できる状況. この二つの状況の間には,一体どんな違いが有るのでしょうか. 互いに緊密に結びついたアクセスしやすい形式で「教育パターン」を示すことで,その違いを示すことができるかも知れません.

パターンは本質的に問題を解決します. この問題というのは,異なる状況の中で繰り返し起こるものの一つでなければいけません. 私達は,教える,ということを行う上で,学生への動機の与え方だとか,教材の選び方や教材の順序付けの仕方,生徒の評価方法のような多くの問題を抱えているのです.

これらの問題は繰り返し起こります. そしてその度に少しずつ異なった形をしているのです. 問題が起きる度に,そこには私達の解決策の選択に影響を及ぼすような考慮すべきポイントが有ります. この影響力によって,私達は問題の解決策に近づいたり,その解決策から遠ざかったりします. パターンは問題と解決策を示すべきです. その影響力を受けた問題は,その問題への解決策が有益に適用されなければいけません.

パターン ランゲージは複雑な振る舞いや複雑な生成物を生み出すために一緒に機能する一セットのパターンです. パターン ランゲージの中のそれぞれのパターンがそれ自体は単純であるのと対照的です. パターンのコミュニティーは,分離されたパターンが,ソフトウェア システムや組織及びプロセスをどんどん良くしていく方にだけ働くことを悟り始めました. 他方では,パターン ランゲージは,根本的で且つ永続的な改良を保証します. 一つのとても成功した教育パターン ランゲージは,アストリット・フリッケ (Astrid Fricke) 及び マルクス・フェルター (Markus Voelter,http://www.voelter.de/seminars/ 訳者注: 英語) による『セミナー』です. それは,短いコースをどう立案し実施していくかについて記述しています. このランゲージ中に (若しくは任意のパターン ランゲージの中に) 斬新さは殆ど有りません. しかし,それはしばしば忘れられ時々は見落とされる熟練者の知識を一つの場所に集めてくれるのです.

多くの教育者が,数年間教育パターンのプロジェクトに参加しています. この国際的なウェブサイトには,これらの教育パターンのうちのいくつかを含む寄稿が有ります. 寄稿は切に求められています. また,コミュニティーのメンバーは,彼らの仕事を開発する新しいパターンの作者と仕事をすることを嬉しく思います. http://www.pedagogicalpatterns.org/ を参照してください.

このワークショップでは,教育の改善にパターンを使うことに興味を持つ教育者や産業のトレーナーを集めようとしています. それぞれの参加者には,パターンかパトレット (patlet: パターンに関するアイディア) の提供が求められます. ワークショップの第一部では、これらのアイディアやこれらと『経験に基づく学習』パターン ランゲージとの関連性をやりとりに終始します. 次に,既存のパターン ランゲージに不足している部分に注目して,教育上の問題点とその解決策をグループ討論します. 以前に集められたアイディアを使い,それらを適切にパターンとして表現することができる形式への抽出を試みます. 最後に,それらのアイディアで『経験に基づく学習』パターン ランゲージの改善を試みます.

私達は,オブジェクト技術の教育者やトレーナーからの提案,或るいはこの分野に興味を持った経験のあるパターンの作者を求めています. 提案とは,以下のいずれかのものです.

  1. パターン ランゲージと関連しているが,それでカバーしきれないパターン或るいはパトレット (パターンに関するアイディア) をあげてください.
  2. パターン ランゲージ中で説明が必要な点は何かを指摘してください.
  3. パターン ランゲージの他の使い道を述べてください. 例えば,あなたが異なる状況にも関わらず (もしくは本当に同じ状況において),同じような技術やアプローチを使用した例について.
  4. あなたがこのプロジェクトのどこに関心が有るか,あなたがどんな経験をこのワークショップに持ってきたのかを説明してください.

ワークショップに参加するためには,教育パターン プロジェクトのウェブページ (http://www.pedagogicalpatterns.org) で参照できる『経験に基づく学習』パターン ランゲージを読んでおくことが必要です.

また,このワークショップが教育パターンのコミュニティの会員を増やすという面で役に立ってくれ,将来の共同作業のための出会いと機会をもたらしてくれることを期待しています.

私達は常に更なるアイディアを探し求めています. また,私達はこれらパターンの正当性を立証する人々を探し求めています. つまり,私達が集めたパターンをそれらの人々が自らの実践により再現した数々の事例を見ていきたいと考えているのです. これは,あらゆるパターンのプロジェクトにとって重要な局面なのです.