『議論パターン』
~不毛な議論を避け、実り有る議論とするために~

議論パターン




はじめに     ~「パターン」について~

ソフトウェア開発では、よく「パターン」という言葉が使用される。 「定石(じょうせき)」のような意味である。こうすればうまく行く、という問題解決の典型的な例をカタログ形式で収集し、(まと)めたものである。

「デザイン (設計) パターン」、「アーキテクチャ (構造) パターン」、「アナリシス (分析) パターン」等の種類が有り、総称して「ソフトウェア パターン」等と呼ばれる。

「アンチパターン」という言葉もある。こちらは逆に、こうしたらうまく行かない、という典型的な例を集めたものである。


「パターン」という概念は別にソフトウェア開発に特化したものではない。「ソフトウェア パターン」自体、元々建築の方に有った方法を持って来たものである。様々な問題解決の場面で様々な「パターン」が考えられると思う。


本頁では、「議論」(特にネット上での議論) のためのパターンを集めてみたい。



使用方法

以下では、「議論のアンチパターン」と「議論パターン」の二種類が集められている。基本的に「アンチパターン」の方で現状分析を行い、「パターン」の方で問題解決を行う。


  1. 自分の参加している議論がうまく行っていない、と感じたら、
  2. 「議論のアンチパターン」の方で自分が(おちい)っているのと似た状況を見つける。
  3. 「議論のアンチパターン」の中の「関連アンチパターン」の方も確認し、そちらも該当しないか確認する。
  4. 「議論のアンチパターン」の中の「解決のパターン」から「議論パターン」を参照する。
  5. 「議論パターン」の中の「対策」を実施する。

以上を問題がなくなるまで繰り返す。


尚、典型的な問題であるのに「議論のアンチパターン」の方で自分が陥っているのと似た状況が見つからなかった場合は、新たな「アンチパターン」や「パターン」を作ってパターン カタログに追加する。
# 面倒でなければ、ついでにこの頁の作者にもそれをフィードバックしてやる (「フィードバックのお願い」参照) と喜ぶかも知れない。



パターン目次

議論のアンチパターン 議論パターン


議論のアンチパターン     ~不毛な議論を避けるために~

ネット上の掲示板 (例. 2ちゃんねるYahoo!掲示板、古くはパソコン通信の BBS 等) やメーリング リスト、ネット ニュース等で、よく言い争いが起きているのを目にする。 不毛な議論になってしまっていることもよくある。

意見が真っ二つに分かれてしまい何時(いつ)まで言い争っても(らち)が明かない、少しも議論が有意義な方向に展開されて行かない、果ては真面目に議論する者が居なくなってしまい、罵倒合戦になる、等である。

先ずは、そのような不毛な議論に陥るパターンを「議論のアンチパターン」として以下にあげていきたい。 自分の議論の()り方が、このような悪いパターンに (無意識のうちにでも) 陥っていないかを考えたいものである。

尚、以下のアンチパターンは、複数を組み合わせて使用することで、強力に議論を破綻させる効果があるようである。気を付けたい。


『小児型強弁』

状況:
子供のように、論拠もなく自分の主張を頑固に繰り返す。

例:
A: 「B型の人には自己中心的な人が多いです」
B: 「その主張には根拠がありませんね」
A: 「絶対にそうなんです。間違いありません」
B: 「いえ、ですからそう主張される根拠をお聞きしたいのですが」
A: 「間違いないって言ってるでしょう。しつこいですね」

関連アンチパターン:
『罵倒』が伴い、更に不毛な論となることがある。
解決のパターン:
『論理的な発言』を心掛けよう。


『罵倒』

状況:
議論の相手を罵倒する。相手の主張ではなく人格を批判する。

例:
A: 「B型の人には自己中心的な人が多いことは十分に説明しました」
B: 「ちょっと待ってください。その説明ではよく判らないのですが」
A: 「なんでこんなことが理解できないんでしょう。バカと認定させて頂きます」

関連アンチパターン:
『小児型強弁』が伴うことも。議論の相手に『失礼』であり、どんどん不毛な言い争いとなることが多い。
解決のパターン:
自分以外の議論の参加者は、共に議論を作り上げていく仲間。『礼儀』をもって『相手の尊重』をしよう。


『失礼』

状況:
高圧的。見下した態度。ぞんざいな言葉遣い。馴れ馴れしい。

例:
・「あんたの言うことは間違ってると思うよ」
・「あなたはレベルが低すぎます」

関連アンチパターン:
最後は『罵倒』となることも。
解決のパターン:
自分以外の議論の参加者は、共に議論を作り上げていく仲間。『礼儀』をもって『相手の尊重』をしよう。


『速断』

状況:
十分な証拠や根拠なしに断定してしまう。論理の飛躍が伴うことも。

例:
・「B型の人には自己中心的な人が多い。これは私のこれまでの経験から自信をもって言えます。例えば、ほら田中さんとか竹下さんとか。ね」

補足: 「B型で()つ自己中心的」な例を沢山羅列しても、「B型の人には自己中心的な人が多い」ことの証明にはならない。また、前後関係や相関が在るからといって必ずしも因果関係が在るとは限らない、ということにも注意しよう。

別の例:

・「課長は花見に誘わない方がいいよ。彼は雨男だからね」

補足: 或る人が屋外イベントに行くときに雨が降ることが多かったという事実が現に在ったとしても (前後関係や相関)、今後彼が屋外イベントに行くときに雨が降ることが多いとは必ずしも言えない (「彼が屋外イベントに行くこと」と「雨」に因果関係が在るとは必ずしも言えない)。

・「この石は幸運の石です。この石を買ってから恋人が出来た人や宝(くじ)が当たった人、病気が治った人など、多くのお客様からお礼の手紙を頂いています」

関連アンチパターン:
『誤った根拠』に類似。
解決のパターン:
『論理的な発言』をしよう。


『論理の破綻』

状況:
主張が論理的に破綻している。主張が矛盾している。支離滅裂な主張。

例:
A: 「うちの課長はB型だと思いますよ」
B: 「え。何故です?」
A: 「B型の人って自己中心的なところがあるんです」
B: 「へえ。そうなんですか」
A: 「課長って自己中心的ですよね」
B: 「…まあ。そういうところはあるかも知れませんね…」
A: 「だから課長はB型ですよ」

補足: 「この豚は貝の一種だと思いますよ」→「貝ってやつは空を飛べないんです」→「この豚って空を飛べないですよね」→「だからこの豚は貝の一種ですよ」と同じ論理展開。

解決のパターン:
『論理的な発言』をしよう。


『誤った一般化』

状況:
個人的な少数の事例を一般化して結論付ける。一般化のしすぎ。

例:
・「妻がB型だから良く分かるんだけど、B型って自己中心的だよ」
・「まあ、人ってそんなもんだよ」

解決のパターン:
『論理的な発言』をしよう。


『誤った根拠』

状況:
根拠や証拠に誤りがある。

A: 「B型の人には自己中心的な人が多いです。例えば、ほら高橋さん。ね。大体B型の人って…」
B: 「高橋さんは、B型でなくA型ですよ」

関連アンチパターン:
『速断』に類似。
解決のパターン:
『論理的な発言』をしよう。『出典の明示』をし、他の人も過ちをチェック出来るようにしよう。


『架空の議論』

状況:
或る情報や意見を自説に有利なように表現し直し、それを元に議論を進める。 自説を肯定する部分のみを強調し、それの有効範囲やよりどころとなる筈の前提や有効範囲、否定的側面には触れないか、好い加減な考察しかしない。ミスリーディングが伴う。

例:
A: 「血液型が性格に与える影響というのは有るんです」
B: 「私は、血液型が性格に与える影響があるともないとも言えない、と聞いております。有るとすると面白いですね」
A: 「御賛同頂き有難うございます。確かに血液型が性格に与える影響がないとは言えず、今後注目していくべき事実だと思います」

関連アンチパターン:
或る意見の『論点の摩り替え』を行うこともある。
解決のパターン:
『建設的な発言』をしよう。情報は、『出典の明示』をし、他の人も当たれるようにしよう。


『論点の摩り替え』

状況:
議題から外れた部分を論じ、議論を脇道に逸らせてしまう。

例:
A: 「血液型が性格に与える影響というのは有るんです」
B: 「そのような事実は確認されていないと聞いていますが。統計的にそれを裏付ける調査結果は得られていないと」
A: 「しかしこれだけ血液型性格判断が流行しているんですから、それが調査結果に影響を与えない筈はないですよ」

関連アンチパターン:
一種の『話題そらし』『架空の議論』で使われることがある。『他の子もやってるもん』もこの一種。
解決のパターン:
『明確な議題』に沿った『建設的な発言』をしよう。


『他の子もやってるもん』

状況:
議題から外れた別の問題を持ち出し、そちらの方を先に問題視すべきと主張し、議論を脇道に逸らせてしまう。

例:
・「俺の口調に文句をいう暇があったら、他のやつはどうなんだ。そういうことは、そいつら全部に注意してから言えよ」
・「それを問題にするんだったら、もっとひどいことをやってる人は沢山います」

補足: スピード違反で捕まって、「何で俺だけ捕まえるんだ。俺よりもスピード出してるやつが沢山いるじゃないか。先にそっちを捕まえろよ」と一緒。他に違反者がいたからといって或る違反者を捕まえていけないことにはならない。子供の理屈。

関連アンチパターン:
『論点の摩り替え』の一種。
解決のパターン:
『明確な議題』に沿った『建設的な発言』をしよう。


『手前勝手な議論』

状況:
自説に有利な主張にだけ反応し、反論は無視する。不利な質問に答えない。不利な質問には質問で返す。

例:
A: 「B型の人には自己中心的な人が多いです」
B: 「血液型性格判断って根拠がないと聞いたんですが… 何か根拠となる統計結果とか御存知でしょうか」
A: 「では次に、AB型の人の場合について議論しましょう…」

関連アンチパターン:
この目的で『話題そらし』が使われることがある。『絶対撤回しない』目的でよく使用される。
解決のパターン:
『建設的な発言』をして『議論への協力』をしよう。


『話を聞かない』

状況:
議論の相手の話をきちんと聞かない。

例:
・何を言われても悪くとる。
・議論の相手が主張していないことに反論する。

A: 「B型の人には自己中心的な人が多いです」
B: 「血液型性格判断って根拠がないと聞いたことがあるんですが… 何か根拠となる統計結果とか御存知だったら教えて頂けませんか」
A: 「何が何でも血液型性格判断を否定したいようですが、根拠がないのはそちらも同じでしょう」

関連アンチパターン:
『深読み』していることも多い。

解決のパターン:
『冷静な発言』を心掛けよう。


『深読み』

状況:
議論の相手の主張を深読みし過ぎる。行間を読み、勝手な解釈を行う。
関連アンチパターン:
『話を聞かない』に類似。

解決のパターン:
『冷静な発言』を心掛けよう。


『教えてあげよう』

状況:
自分の意見の正しさを他の議論の参加者に教えてあげよう、という立場で意見を述べる。
もしかすると、自分の中では結論は既に決まっていて、実は相手の意見を受け入れる心算(つもり)がないのかも知れない。

例:
・議論の場で共通の前提になっていないにも関わらず、自分の意見は正しいんだ、という前提で意見を述べる。
・互いの意見を理解し合って共に見識を高めて行こう、というスタンスでなく、自分の意見を如何に相手に判らせるか、というスタンスで意見を述べる。

A: 「B型の人には自己中心的な人が多いです」
B: 「血液型性格判断って根拠がないと思ってますが…」
A: 「あなたには根本的に知識が欠けているようですね。判る人には判るんですが… 本を御紹介しますのでそれを読んで勉強してから質問してください」

関連アンチパターン:
『自分は特別な人間』と考えているのかも。自分の意見だけ特別視するのはやめよう。
解決のパターン:
お互い対等であることを肝に銘じ、『相手の尊重』をしよう。


『発言の強要』

状況:
他の人に発言や回答を強要する。

例:
・「この質問には A さん の回答を求めます」
・「回答がないようですが、早く御願いしますね」

解決のパターン:
『相手の尊重』をしよう。相手の「発言しない自由」を尊重しよう。


『後出しじゃんけん』

状況:
結果を見てから、評論をする。曖昧な主張をしておき、相手の反論後に、自説に解説や条件を加える。結果論。

・「あの時は言いませんでしたが、あなた方の遣り方ではうまく行く筈ないってずっと思ってましたよ。もっと広い視野で考えるべきだったんですよ。ほら、やっぱりうまく行かなかったでしょう」

補足: 事前に指摘しないで、結果を見てから言うのは如何なものかと

関連アンチパターン:
『主張の微調整』もこれの一種。
解決のパターン:
『定義された用語』を用い、こうならないようにしよう。『建設的な発言』をしよう。


『主張の微調整』

状況:
相手からツッコミを入れられるたびに、自説を少しずつ判らないように変えてそれをかわそうとする。

関連アンチパターン:
『後出しじゃんけん』の一種。『絶対撤回しない』目的でよく使用される。
解決のパターン:
『定義された用語』を用い、こうならないようにしよう。『建設的な発言』をしよう。


『話題そらし』

状況:
自説に都合の悪い問題提起に対し、少々関連のある別の話題を持ち出して話題をそらす。

関連アンチパターン:
『重箱の隅』をつついて、これを行うこともある。また、『手前勝手な議論』のために使われることがある。『論点の摩り替え』もこれの一種。
解決のパターン:
『明確な議題』に沿った『建設的な発言』をしよう。


『重箱の隅』

状況:
本論からみれば些細(ささい)な相手のミスを殊更(ことさら)に指摘し、相手の意見に対して優位に立とうとする。

例:
言葉尻を捕らえる。揚げ足を取る。細かいミスを(鬼の首を取ったように) 指摘し相手が無知であると主張する。

A: 「B型の人は自己中心的です」
B: 「B形の人がみんなそう、ということもないと思うのですが」
A: 「『B形』ってなんですか? 簡単な漢字も満足に書けないような人になんやかんや言われたくないですね」

関連アンチパターン:
『話題そらし』の手段の一つとして使われることが多い。
解決のパターン:
『明確な議題』に沿った『建設的な発言』をしよう。


『蒸し返し』

状況:
解決済みの問題を持ち出し、議論を先に進めようとしない。

関連アンチパターン:
他所(よそ)の内容を持ち出して『場外乱闘』になることも。
解決のパターン:
『建設的な発言』をして、『議論への協力』をしよう。


『絶対撤回しない』

状況:
自分の間違いを絶対に認めない。

例:
どんなに反論されようとも自分が間違っていたと認めない。 単なる勘違いや typo (typographical error: タイプミス等による誤字脱字) 等のうっかり間違いであろうとも自分の間違いであると認めない。都合の悪いことには無視して答えない。議論に負けないことに(こだわ)る。

関連アンチパターン:
『主張の微調整』によって自論を曲げてでも認めない。『手前勝手な議論』を行うことも多い。始めから『結論ありき』であることがある。
解決のパターン:
『間違いの訂正』をして『建設的な発言』をしよう。


『結論ありき』

状況:
自分の中で始めから結論は決まっていて、相手からどんな正当な反論があろうとも意見を変える積もりが毛頭ない。自説を主張したいだけで議論をする気がない。


関連アンチパターン:
『絶対撤回しない』
解決のパターン:
『間違いの訂正』をして『建設的な発言』をしよう。


『無責任』

状況:
自分の言ったことに責任を持たない。

例:
A: 「あきれました。もうここでは二度と発言しません…」
… 暫く経って …
A: 「もう一度だけ反論させて頂きます。これが最後です…」
… 数日後 …
A: 「もう発言をやめたいのですが、仕方がありませんね。なかなか去らせてはもらえないようです…」

ツッコミ: 「あの、誰も発言をやめてくれとも反論してくれとも言ってないんですけれど」

解決のパターン:
『礼儀』正しくしよう。


『勝利宣言』

状況:
一方的に自分の勝ちを宣言する。

例:
A: 「どうやら B は有効な反論ができずに尻尾を巻いて逃げて行ったようです。この議論は私の勝ちとさせて頂きます…」

解決のパターン:
議論の勝ち負けに拘るのは止めよう。『議論への協力』をしてお互いの利益になるような議論にして行こう。『建設的な発言』をしよう。


『逆切れ』

状況:
自分の間違いを指摘した人や注意した人に対して、食って掛かる。

例:
A: 「そんな風に罵倒し合うのは止めませんか。そろそろ見ているこちらもつらくなってきました。有意義な議論にしていきましょうよ」
B: 「何故私にばかり注意するのですか。向こうには言わないのですか。それにそんなに私の発言が気に入らないなら、私の発言だけ無視してください」

関連アンチパターン:
『マジギレ』に類似。

解決のパターン:
素直に『間違いの訂正』をしよう。間違いの指摘や注意は有り難いことと考え、『礼儀』を尽くそう。


『マジギレ』

状況:
議論に熱くなり、感情的になり、怒りを(あらわ)にする。
関連アンチパターン:
『逆切れ』に類似。

解決のパターン:
『冷静な発言』を心掛けよう。自分以外の議論の参加者に『礼儀』を尽くそう。


『レッテル貼り』

状況:
議論の相手にレッテルを貼ることで相手の主張をステレオタイプ化し、否定する。

例:
「サヨクの人たちは…」、「さすがウィンドウズ信者ですね」、「反対派の皆さんはよってたかってそうおっしゃいますが…」等

A: 「B型の人には自己中心的な人が多いです」
B: 「B型としてその意見は聞き捨てなりません。なんの根拠があってそんなことを仰るのでしょう。B型って実は…」
A: 「なんですかその自分だけに都合の良い主張は。やっぱりB型の人ってこうなんですよね…」

関連アンチパターン:
『陰謀論』では敵対する人達を一纏めにして「一味」呼ばわりすることがある。
解決のパターン:
『冷静な発言』『論理的な発言』を心掛けよう。


『みんなそう言っている』

状況:
自説が多数派であるかのように主張し、自説の正当性を訴える。

例:
・「その意見は世間では通用しないと思います」
・「黙っているけど他の人たちも私と同意見だと思いますよ」

ツッコミ: 「例えば誰?」

関連アンチパターン:
『自作自演』によってそうであるかのように無理矢理演出するようなことはしないように。
解決のパターン:
『論理的な発言』を心掛けよう。


『ダブル スタンダード』

状況:
自説に有利な場合と不利な場合で基準を変える。

関連アンチパターン:
『自分は特別な人間』のように自分にだけ甘いのもこれに当たるだろう。
解決のパターン:
『論理的な発言』を心掛けよう。


『自分は特別な人間』

状況:
他人(ひと)にするなと言ったことを自分は平気でやる。自分の主張だけを特別視する。

例:
・「議論のための議論はしないようにしませんか」
・「そのような議論は個人メールで御願いします」
・「罵倒ばっかりしてんじゃねえよ。バカが」
・「そんな言い方ひどすぎます! 感情的にならないでください」

ツッコミ: 「あなたもね」

関連アンチパターン:
或る種の『ダブル スタンダード』である。『最後は私』発言もこれに該当する。『教えてあげよう』というような発言の仕方になることも。
解決のパターン:
『論理的な発言』を心掛けよう。


『最後は私』

必ず議論の最後は自分の発言で終わらないと気が済まない。

例:
・「…ということです。私の言いたいことは以上ですが、お話が通じないようですし、これを最後の反論とさせて頂きます。この件では私は議論をやめますので、あなたもこれ以上反論を付けないようにしてくださいね」

関連アンチパターン:
内心『自分は特別な人間』と考えているのだろうか。『言い逃げ』となることも多い。
解決のパターン:
『冷静な発言』『論理的な発言』を心掛けよう。


『言い逃げ』

状況:
捨て台詞(ぜりふ)を残して去る。または、言いたいことだけ言って以降の議論には参加しない。

例:
・「もうすっかり呆れました。これを最後に私はここから去ります。発言をすることも発言を聴くことももう二度としません」

補足: 通常は、反論するのも反論しないのも自由なので、黙るのが悪いことだとは言えないが、捨て台詞は余り建設的な遣り方とは言えないのでは。

関連アンチパターン:
『最後は私』発言を最後に黙る例がある。
解決のパターン:
『議論への協力』をしよう。発言を終えるにも『礼儀』正しくしよう。


『場外乱闘』

状況:
他所での議論を持ち込む。

例:
他所で自説に反論した人に対して、他所での議論の続きを持ち掛ける。他所での議論を根に持つ。

関連アンチパターン:
『蒸し返し』の一種として行われることも。
解決のパターン:
慎もう。その場の『議論のルール』に違反していることが多い。


『取っ組み合い』

状況:
他にも参加者がいるのに二人だけで延々と言い争う。

関連アンチパターン:
『水掛け論』の場合になりがち。
解決のパターン:
他の参加者に迷惑なことがある。『議論のルール』を守るようにしよう。


『水掛け論』

状況:
相手も自分も決定的な根拠の無い(まま)自論を言い張って、解決しない議論になっている。

関連アンチパターン:
『取っ組み合い』になることも多い。
解決のパターン:
何時までも先に進まない議論は打ち切るようにして、『議論への協力』をしよう。『建設的な発言』をしよう。


『反社会的』

状況:
主張が反社会的である。倫理に反している。

例:
具体例は避けるが、人種や民族その他に関する差別的な主張、法律違反を薦めるような主張、誹謗中傷、プライバシーの侵害等。

解決のパターン:
『議論のルール』を守って議論しよう。


『対案なき批判』

状況:
批判するばかりで改善案や対案を出さない。

例:
A: 「幾つか案が出ていますが、他にご意見はありませんか」
B: 「どの案も全然話にならないと思います」

関連アンチパターン:
『ネガティブ思考』に類似。

解決のパターン:
『建設的な発言』をしよう。


『ネガティブ思考』

状況:
出来ない理由ばかりを挙げる。 他人の提案にケチを付ける。話を前に進めるための解決策を出すのではなく、何故それでは駄目かばかりを羅列する。
例:
A: 「…と言った訳で、少しずつ各部署で仕事の効率化を進めて行きましょう」
B: 「でもノウハウを持った経験者がいませんからね」
A: 「最初は試行錯誤が続くかも知れませんが、これから少しずつ勉強をしながら経験を積んでいくべきかと」
B: 「でも今皆仕事が忙しい時期ですし」
A: 「そう言って効率化を先延ばししていては何時までたっても現状の儘ですから、徐々にやっていきましょう」
B: 「徐々にじゃ、中々効果が見えて来ないですね」

補足: 或る案に対してリスクを適切に評価するのは重要なことであり、これには当たらない。

関連アンチパターン:
『対案なき批判』『卓袱台返し』に類似。

解決のパターン:
『建設的な発言』をしよう。


『卓袱台返し』

状況:
或る程度議論が進んだ後で、前提から議論を引っ繰り返してしまう。
例:
A: 「随分沢山の意見が出ましたけれど、中々結論は出ないようですね。他に何かご意見はありませんか」
B: 「そもそもこんな議論をしても、何の役にも立たないと思います」

補足: 議論の前提条件を確認したり、見直したりすること自体がいけない訳ではない。

関連アンチパターン:
『ネガティブ思考』に類似。

解決のパターン:
『建設的な発言』をしよう。


『代弁者』

状況:
自分の立場からの意見でなく、他人の立場からの意見を述べる。

例:
A: 「この案に関して、何かご意見はありませんか」
B: 「私はそれには良いことだと思いますし賛成ですが、以下に述べる理由で反対される方も居るのではないでしょうか。それは…」

補足: 「他の人」が意見を述べられる状況にない場合等には必要なこともあるが、基本的には「他人の意見」ではなく「自分の意見」を述べるべき。

解決のパターン:
自分の『意見や感想』を述べよう。


『ないものねだり』

状況:
事実や出来事等を、現実の証拠ではなく、そうあってほしいという願望に基づいて解釈する。確証バイアスがかかっている状態。時に自己欺瞞を伴う。

例:
・血液型性格判断が好きな人が血液型と性格の関係に関するデータを集める場合と、血液型性格判断を嫌いな人が集める場合とではその内容が違ってきてしまう。どうしても自分の好ましいデータを採用する傾向が出て来る。また、データの解釈の違いも出て来てしまう。

解決のパターン:
『論理的な発言』を心掛けよう。


『悪魔の証明』

状況:
通常は何かの現象や存在、仮説等を主張した方がその証明を行うものであるが、そうせず、逆に議論の相手に「そうでない証明」を求めるもの。

例:
A: 「UFO と一般的に言われているものは、実は宇宙人の乗り物なんですよ」
B: 「そんなことはとても信じられません。間違いではないのですか?」
A: 「間違いだなんてそんなことがある訳ないです。違うというのなら証拠をあげてください。証拠もなく否定しないでほしい」

補足: 「UFO は宇宙人の乗り物」と主張した側がその根拠を示すべき。

解決のパターン:
『論理的な発言』をしよう。


『メタ議論』

状況:
議論の仕方に関する議論を延々とする。

解決のパターン:
『明確な議題』に沿った『建設的な発言』をして、『議論への協力』をしよう。


『トートロジー』

状況:
自説の証明に自説を用いる。

例:
A: 「UFO 研究家の C 氏の言っていることは正しいです」
B: 「でも C 氏の発言のうち、UFO が宇宙人の乗り物だというのはとても信じられません。間違いではないのですか?」
A: 「いえ、間違いなく UFO は宇宙人の乗り物なんです。C 氏の著作にも『UFO が宇宙人の乗り物であるのことは疑う余地がない』と有りますし」

解決のパターン:
『論理的な発言』をしよう。


『ピグマリオン症』

状況:
実在とモデルとを混同する。

例:
A: 「相対性理論は間違った理論だ」
B: 「いや、相対性理論は完全に正しい」

ツッコミ: 「どちらも何かずれてるような。相対論は現実世界の或る範囲を説明するために作られたモデルの一つに過ぎない」
補足: モデルとは… 問題を関心対象に焦点を当て特定の形式で表現したもの.本質的なものだけが強調して抜き出される.絶対的な真実を表現したものでなく仮説.

解決のパターン:
『論理的な発言』をしよう。


『反証可能性の欠如』

対策:
反証可能性 (「その主張は間違っている」と言えること) がない意見を述べる。

例:
A: 「私は『血液型性格判断』が好きです。血液型と性格には関係があるんじゃないかと思います」
B: 「…今のところ血液型と性格の間には意味のある関係は見出されていないんではなかったでしたっけ」
A: 「それでも私は『血液型性格判断』が好きなんです」

補足: これでは議論にならない。「私は…が好きだ」というような主張には反証の可能性がない (間違っているかどうかを論じようがない)。

関連アンチパターン:
『感情論』『信仰』はこれであることが多い。
解決のパターン:
『論理的な発言』を心掛けよう。


『印象操作』

状況:
相手の意見を否定したいがために、否定したいものに対して、殊更にネガティブなイメージを与えるような言動をする。
或るいは、自分の意見を肯定してもらいたいがために、殊更に良い面だけを強調する。

例:
「A社のXという缶飲料には、大量の DHMO (Dihydrogen Monoxide) という化学物質が含まれています。無味無臭なのですが、大量に摂取すると死に到ることもある恐ろしい物質です。毎年多くの人々がこの物質が原因で命を落としています。アメリカの国立衛生研究所のレポートには、末期癌患者から採取した癌細胞には多くの DHMO が含まれているという事実が記されていて、癌の専門家の間では、これは既に常識です。また妊娠中や授乳期間中の女性が、DHMO を摂取した場合、胎盤や母乳を通じて胎児へも DHMO が伝わることが知られています」

※ 全て事実だが、これを聞いて積極的にA社のXという缶飲料を買いたいと思えるだろうか?
※ ちなみに、DHMO は「水」の別名であり、A社のXという缶飲料には大量の水分が含まれる、というだけのこと。

補足: ものごとには大抵の場合、良い面と悪い面がある。そのどちらかだけを故意に強調するのはアンフェア。

解決のパターン:
『建設的な発言』を心掛けよう。


『感情論』

状況:
感情にかられた主観的な意見を述べる。

例:
・「血液型と性格に何も関係がないだなんて、そんな夢のない話はしたくありません」

関連アンチパターン:
『反証可能性の欠如』を伴うことが多い。
解決のパターン:
『冷静な発言』を心掛けよう。


『信仰』

状況:
論拠なく信じる。

例:
A: 「B型の人には自己中心的な人が多いです」
B: 「その主張に無理があることは、こうこうこの通り明らかです」
C: 「そうですね。何度検証しようとも統計的に意味のある数字は出ませんでしたし」
A: 「誰に何と言われようと、私はそう信じているんです」

補足: 勿論信じること自体は問題ない。

関連アンチパターン:
『反証可能性の欠如』を伴うことが多い。
解決のパターン:
『論理的な発言』をしよう。


『妄想』

ありもしないその人の想像や妄想に基づいた主張を行う。

関連アンチパターン:
『陰謀論』に結び付くことがある。
解決のパターン:
『論理的な発言』をしよう。


『陰謀論』

状況:
根も葉もなく陰謀があると主張する。

例:
自説に賛成しないものは全員敵の一味だと思い込む。

・「さてはあなた達、ぐるになって私を(おとしい)れようとしていますね」

関連アンチパターン:
『妄想』によることも多い。議論の相手を「一味」だと『レッテル貼り』したりする。
解決のパターン:
『論理的な発言』をしよう。


『自作自演』

状況:
一人()しくは複数の他人になりすまし自説の弁護をする。(あたか)も自説に賛同している人が多く居るかのように偽装工作する。

補足:
これはちょっと番外。無意識のうちに陥るパターンではない。ネット上の議論では見掛けることが有る。『自作自演』を行ったり他人の『自作自演』を疑ったりすることは、不毛な議論に結び付きがち。

関連アンチパターン:
『みんなそう言っている』と見せ掛けたいのが動機。
解決のパターン:
こういうことはしないようにしよう。『議論のルール』を守ろう。


『アンチパターンの指摘』

状況:
他の人に対してアンチパターンの指摘を行う。

補足:
使用方法にもあるが、アンチパターンは自分が陥っていないか、という観点で使用した方が良いようである。他の人にアンチパターンを当て嵌めて指摘をすることは、逆に問題を解決から遠ざけてしまうことがあるようである。気を付けよう。

解決のパターン:
一方的な指摘は出来るだけ避けよう。『相手の尊重』をしよう。



議論パターン     ~実り有る議論とするために~

次に、議論を「うまく行かせる」ためのパターンをあげていきたい。


良い議論では、

  1. 参加者が意見や意見に対するフィードバックを出し合い、
  2. それを理解し合うことで、
  3. 個々の見識が高まり、
  4. それによって議論が深まって行き、
  5. 更に良い議論と成って行く。
という良い循環が起こるものである。このような議論を行うためのパターンである。

※ 形式ばった堅苦しい議論を推奨する意図はない


『目的を持った議論』

状況:
議論自体の目的を正しく把握しておらず、どのような議論の仕方が適切か判らなくなる。
対策:
議論の目的を知り、その目的に向けて議論を進めよう。目的には、その時々で以下のような種類がある。


目的に応じた適切な方法で議論を行おう。方法には以下にあげるもの等が有る。

結果:
議論がより目的に向かって有意義に進む。

関連パターン:
これに向けて『明確な議題』を設定し、『議論への協力』を行うようにしよう。これを行うために、必要に応じて『議長』を置こう。


『明確な議題』

状況:
議論が発散してしまい、身の有る話し合いにならない。
対策:
議論では議題を明確にし、議題について議論を行おう。


結果:
議論の方向が定まり、議論が収束する。内容のある議論となる。

関連パターン:
『目的を持った議論』を目指し、その目的に向けて決定しよう。『建設的な発言』のために必要である。また、これに沿った形で『議論への協力』を行う。これを行うために、必要に応じて『議長』を置こう。
解決するアンチパターン:
『論点の摩り替え』『他の子もやってるもん』『話題そらし』『メタ議論』『重箱の隅』を解決する。


『議論のルール』

状況:
やりたい放題、言いたい放題になってしまう。
対策:
その議論或るいはその議論の場のルールを(あらかじ)め決め、明文化しておこう。
結果:
議論が滅茶苦茶にならず、スムーズに進行する。

関連パターン:
『議長』によってこれを明確にし、遵守を促そう。
解決するアンチパターン:
『場外乱闘』『取っ組み合い』『反社会的』『自作自演』を解決する。


『議長』

状況:
議論が目的から大きく反れていってしまう。言いたい放題になってしまう。
対策:
必要に応じて、議長によって議論をコントロールするようにしよう。


結果:
議論が目的に向かって、スムーズに進行する。
関連パターン:
『議論のルール』に従い、『明確な議題』に沿った『目的を持った議論』を行うようにすることができる。『理解の促進』 が行われる。『議論への協力』が推進される。


『定義された用語』

状況:
言葉がうまく伝わらずコミュニケーション エラーが生じる。用語に誤解を生じてしまう。
対策:
曖昧な用語を用いる場合は、定義を明確にしよう。


結果:
コミュニケーション エラーが減少し、中身の濃い議論となる。

解決するアンチパターン:
『主張の微調整』『後出しじゃんけん』を解決する。


『主張の明示』

状況:
主張がうまく伝わらずコミュニケーション エラーが生じる。主張を誤解されてしまう。
対策:
主張はできるだけ以下の内容を含めよう。

  1. 事実の報告
  2. 問題提起
  3. 意見の表明
  4. 意見の正しさの論証
    直接経験、伝聞、実証的な根拠、合理的・論理的な説明、予想される反論への対処

また、どの部分が事実で、どの部分が仮定で、どの部分が推測なのか、を明確にするようにしよう。

結果:
コミュニケーション エラーが減少し、中身の濃い議論となる。

関連パターン:
これを行うことで『議論への協力』をする。『建設的な発言』のために必要である。


『意見や感想』

状況:
意見や感想が意図したように伝わらない。誤解されてしまう。反感を買ってしまう。
対策:
意見や感想はできるだけ以下の内容を含めよう。

  1. 事実の報告
  2. 意見や感想の表明
    ※ 賛成部分と反対部分の双方を明確に
    ※ 相手の主張のどの部分に関する意見や感想なのかを明確に
  3. 意見の正しさの論証
  4. 対立する主張に対する反論

相手の伝えたがっている部分を無視したり、直ちに反論するのではなく、相手の意見を受け止めた上で、意見や感想を述べよう。


相手が「こだわり」を持っている部分や大切にしている部分 (相手がより深く話そうとする部分) について、それを踏みにじったり傷付けたりしないように意見や感想を言おう。

結果:
質疑応答がスムーズになり、議論が先に進むようになる。

関連パターン:
これを行うことで『議論への協力』をする。但し、相手の主張に意見や感想を述べるだけではなく、時には『聞き上手』に成って相手の主張を引き出すことも重要。
解決するアンチパターン:
『代弁者』を解決する。


『聞き上手』

状況:
議論の相手の主張が十分に引き出せない。
対策:
相手の主張を以下のようにしてしっかり聞き出し、またふくらませて行こう。


関連パターン:
何より心から『相手の尊重』をする。これと『意見や感想』を上手に使って相手の主張を理解しよう。


『議論への協力』

状況:
自論のぶつけ合いになり、誰も譲らないため、実り有る議論とならない。
対策:
議論に参加している者同士協力して議論を進めよう。以下のものを代わる代わる出し、議題にそって議論を作り上げて行くようにしよう。

※ 例えば、「事実の報告」→「問題提起」→「賛成意見」→「反対意見」→「事実の報告」→「感想」→「質問」→「回答」→「問題提起」のように順序立てて進めよう。

「議論の勝ち負け」に拘るようなことは止めよう。win-win (自分が勝って相手が負けるのでも自分が負けて相手が勝つのでもなく、お互いにとって利益となること) になるように議論をしよう。

結果:
議論が建設的な方向に進む。

関連パターン:
『目的を持った議論』となるよう、『明確な議題』に沿った形で、『主張の明示』『意見や感想』を出し合おう。これを行うために、必要に応じて『議長』を置こう。互いに『相手の尊重』『建設的な発言』が大切。
解決するアンチパターン:
『手前勝手な議論』『メタ議論』『蒸し返し』『言い逃げ』『勝利宣言』『水掛け論』を解決する。


『出典の明示』

状況:
情報の信憑性が疑われる。
対策:
情報は、できるだけ出典を明示しよう。


結果:
情報の信憑性が増し、主張を受け入れてもらえるようになる。

解決するアンチパターン:
『架空の議論』『誤った根拠』を解決する。


『礼儀』

状況:
感情的な言い争いになる。
対策:
礼儀正しく議論しよう。


結果:
無駄な言い争いが減少し、議論が横道に逸れなくなる。

関連パターン:
『相手の尊重』をする気持ちがあれば自然と。
解決するアンチパターン:
『罵倒』『失礼』『言い逃げ』『無責任』『逆切れ』『マジギレ』 を解決する。


『相手の尊重』

状況:
互いに自分の都合のみで議論を行い、建設的な議論にならない。
対策:
議論の相手を尊重しよう。


結果:
無駄な言い争いが減少し、建設的な議論となる。

関連パターン:
『議論への協力』をするためには必要。お互い『礼儀』をもって接することができるようになる。『聞き上手』に成るのにもこれが大切。
解決するアンチパターン:
『罵倒』『失礼』『教えてあげよう』『発言の強要』を解決する。


『間違いの訂正』

状況:
自分の間違いを発見した。この間違いによる無駄な議論を防ぎたい。
対策:
自分の間違いを見つけたら、明示的にできるだけ早く訂正しよう。「君子豹変す (君子は過ちに気付けば速やかに改め行いを正しくする)」
結果:
誤解に基づく議論が減少する。

関連パターン:
『論理的な発言』をするためには前以てやっておく必要が有る。
解決するアンチパターン:
『絶対撤回しない』『結論ありき』『逆切れ』を解決する。


『理解の促進』

状況:
主張が相手に正しく理解されていないようだ。
対策:
原則的に主張を正しく伝えるのは主張する側の責任。理解できない方は判らないポイントについて質問を行い、主張する側はそれに答える、というようにしよう。また、主張の具体化や表現の工夫を行い、より判り易い説明を試みるようにしよう。
結果:
相互理解により議論がスムーズになる。

関連パターン:
『論理的な発言』をすることが肝心。これを行うために、必要に応じて『議長』を置こう。


『論理的な発言』

状況:
主張の内容を理解してもらえない。主張すること自体で反感を買ってしまう。
対策:
矛盾なく論理的に発言を行おう。


結果:
主張すること自体を受け入れてもらえるようになる。主張が伝わり易くなる。

関連パターン:
『間違いの訂正』『理解の促進』
解決するアンチパターン:
『小児型強弁』『感情論』『反証可能性の欠如』『トートロジー』『ピグマリオン症』『悪魔の証明』『信仰』『妄想』『陰謀論』『ないものねだり』『みんなそう言っている』『ダブル スタンダード』『自分は特別な人間』『レッテル貼り』『最後は私』『論理の破綻』『誤った一般化』を解決する。


『建設的な発言』

状況:
主張によって議論が進まない。不毛な議論が始まってしまう。
対策:
建設的な発言を行おう。


結果:
議論が先に進み、多くの参加者の利益になる。

関連パターン:
『明確な議題』に沿った『冷静な発言』が必要になる。また、『主張の明示』を行うことでこれが可能になる。『議論への協力』をすることができる。
解決するアンチパターン:
『架空の議論』『論点の摩り替え』『他の子もやってるもん』『手前勝手な議論』『話題そらし』『メタ議論』『対案なき批判』『ネガティブ思考』『卓袱台返し』『蒸し返し』『重箱の隅』『後出しじゃんけん』『主張の微調整』『絶対撤回しない』『結論ありき』『勝利宣言』『水掛け論』『印象操作』を解決する。


『冷静な発言』

状況:
議論が白熱するとついあつくなってしまう。感情的になってしまう。
対策:
議論が白熱するのは構わないが、常に落ち着き、冷静な発言を心掛けよう。


結果:
誤解されずに主張が相手に伝わるようになる。議論がこじれない。

関連パターン:
『建設的な発言』をすることができる。
解決するアンチパターン:
『感情論』『話を聞かない』『深読み』 『マジギレ』 『レッテル貼り』『最後は私』を解決する。



UML (Unified Modeling Language: 統一モデリング言語) による関係図

パターン間の関係を、UML というソフトウェア開発用の言語によって図化してみると次のようになる。

UML による議論パターンの関係図

※ クリックすると大きい図が見られる



おわりに

議論をすることは、大切なことであると思う。

自分の考えを他人に判るように述べることで、曖昧な自分の考えをはっきりとさせることが出来る。また、自分の考えに対して他の人からフィードバックを得ることで、考えを良い方向に進めて行ける。そして、自分と異なった他の人の考えを識ることで、自分の世界を広げられる。

是非実り有る議論をして行きたいものである。


最後に、J.ドナルド・ウォルターズと アルダス・ハックスリーの言葉を引用したい。

(「今すぐ始めよう」J.ドナルド・ウォルターズ 著 ディスカヴァー21編集部 ディスカヴァー・トゥエンティワン より)

(イギリスの小説家 アルダス・ハックスリーの言葉)


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参考文献